月曜 野村雅道の今週注目!の経済指標 マーケットが注目する指標を大胆解析

日米首脳混迷、日米貿易不均衡でドル安円安継続

更新日:2017年7月24日

7月24日(月)-7月28日(金)

今週の予想:
ドル円=109-114、ユーロドル=1.14-1.19、ユーロ円=127-132

米ドル 「政策進まずトラブル増加、貿易赤字ではドルは上がらず」 

トランプ大統領は、貿易赤字の削減に向けた政策を次々と打ち出すも、海外との交渉がまとまらない。税制改革やインフラ投資など、国内政策では調整が難航している。さらにロシアの大統領選挙関与問題、スパイサー報道官の辞任、オバマケア代替法案のメド立たずなどと具体的な成果を出せずにいる。支持率低下どころか、大統領弾劾への支持率が上昇している。3%成長目標に対してはIMFが2%に下方修正した。貿易赤字もあり、今年のドルの安さに違和感はまったくない。
今週はFOMCが開催される。6月に行った利上げの影響を見極めようと、政策金利を据え置く公算が大きい。年内に着手を決めた資産圧縮の時期を明示するかどうかが焦点だ。イエレン議長は議会証言で「米景気は、今後2年は緩やかに拡大する」と述べ、緩やかな利上げの継続は適切との認識を示した。一方で、弱さが見られる物価動向を注視するとも語り、年内あと1回を想定する追加利上げを急がない姿勢を示した。
市場が関心を寄せるのは、金融危機後の金融緩和で膨らんだ資産の圧縮を始めるタイミングだ。イエレン議長は「比較的早期」と述べており、市場では9月に始まる、との観測が出ている。FOMC会合後に発表される声明に注目したい。
さて、長期投資の観点からは、筆者は利上げ観測があっても、ドルを買い続けない。長期投資では、利回りがある程度高くなり、それが5年、10年と保有することで為替差損をどの程度相殺できるかを試算する。現在の2%台の長期金利の水準では、米国債券を買う気にはなれない。ギリシャや新興国のように5%から10%の利回りがないと、長期投資のメリットがない。利上げでドルを買うのは短期的であり、相場を変動させる需給には影響しない。今週はFOMCの他に強い数字が予想されている2QGDPの発表がある。

ユーロ 「資産買い入れの将来について決定するのは10月か」

ユーロが強いことで、株価は前週の6位から11位へ後退した。為替と株は逆に動くことが多い。また、ECB理事会でのドラギ総裁の発言においては、為替と金利は異なった反応をした。ドラギ総裁は、来年以降の資産買い入れ方針を「秋に検討する」ことを示唆し、あらゆる情報を精査する必要があるため、いつ決定するか、具体的な日程を事前に定めないことが理事会の総意であると明かした。その結果、債券市場では、今回の理事会で決定時期が示唆されず利回りが低下し、為替市場ではドラギ総裁がこのところ上昇していたユーロの為替相場には言及しなかったこともあり、上昇。
ECBの17年のインフレ率見通しは1.5%、18年は1.4%、19年は1.6%で、いずれも3カ月前に実施した前回調査から0.1%低下したが、最近のユーロ圏の指標が強いこともあり、また米国の政局不安もあって、ユーロ売りとはならなかった。先週のZEW景況感調査や建設支出、消費者信頼感が弱かったので、今後の指標により注目が集まる。ただ、貿易黒字は膨大なままである。米国は貿易不均衡に不満を漏らすだろうが、米国が理論的に貿易黒字国に対処する方法は持ち合わせていない。
さて、ECBの複数の政策立案者は、資産買い入れの将来について決定するのは10月になる可能性が最も高いと見ており、スタッフが選択肢として提示している12月では遅すぎると考えている。9月7日の理事会までに手に入る主要データはほとんどないほか、独総選挙の前に政策立案者も行動を取りづらくなる可能性があるからだ。性急な答えを期待する市場に、冷静に水を差した感もある。

英ポンド 「2QGDP減速か。EU離脱でネガティブな空気あり」

先月の総選挙での保守党過半数割れで下げたポンドも、インフレ上昇の期待で上げ続けてきた。しかし、このところのインフレ低下で利上げ観測もやや後退しており、先週のポンドは下落した。
英中銀でも利上げについては意見が分かれている。カーニー総裁は、インフレ低下は一時的で、ポンド安で再び上振れる可能性を示唆した。今週は2QGDPの発表があるが、前年比で1Qから減速する見通しだ。
EU離脱交渉でフォックス国際貿易相は、「新たな貿易協定を結ばないまま英国がEUを離脱したとしても世界の終わりではない」としつつ、「現在の開かれた関係を維持できなければ、世界的に大きな影響を及ぼすだろう。欧州での貿易や投資に現在はない障壁を設ければ、欧州が開放的な貿易の案内役になることはなく、欧州大陸を越えて世界経済に影響を及ぼすだろう」と述べた。
ルメール仏財務相は「英国がEUを離脱するにあたって支払わなければならない金額、いわゆる離脱請求書について、フランスは1,000億ユーロという高い水準を主張した」と発言した。また海外の金融機関は、続々と欧州の拠点の本部をロンドンからパリやフランクフルトに移すことを示唆している。経済指標以外でややネガティブな空気があり、対ユーロでポンドは大きく下落している。

人民元 「GDPなど指標好調、米中経済対話は米国の思惑通りとならず」

1%成長にも四苦八苦している先進国経済のエコノミストが、やたら中国経済の減速を指摘しているが、中国のGDP成長率は6%台というより、むしろ7%に近いもので、消費、鉱工業生産も強い。製造業購買担当者景気指数(PMI)も強く、この中国の経済回復が世界を、特に資源国経済、新興国経済を支えているのが今年の特徴だろう。
さて、米中包括経済対話では、貿易不均衡是正に向けた新たな具体策は示せず、米中の思惑のすれ違いが鮮明になった。支持率低迷に悩むトランプ米大統領が功を焦る一方で、習近平指導部は5年に1度の共産党大会を秋に控え、「弱腰」との批判を招くような大幅譲歩はできなかった。
中国は5月、不均衡是正を目指す「100日計画」の合意第1弾として、米国産牛肉の輸入再開や金融規制緩和を公表していた。トランプ大統領は就任半年を迎えたが、主要公約実現のめどは立たず、大統領選をめぐるロシアとの共謀疑惑にも揺さぶられる中、この流れを変えようと、中国に金融、鉄鋼、自動車などで「高過ぎる要求」を突き付けたようだ。米国は数カ月にわたり、自動車の輸入関税引き下げや外資参入規制の緩和を要求。保険市場の一段の開放も迫っていたと言われるが、中国は性急な決断に難色を示した。北朝鮮対応でも中国に不満を募らせるトランプ氏は早速、中国製鉄鋼への高関税適用を示唆した。
米国の輸入を拡大させないためには、中国製品を買わなければそれで済むのだが、そうすれば米国経済が成り立たなくなる。米国が保護貿易、中国が自由貿易を掲げるなど時代は変わったものだ。20世紀は中国の貿易など取るに足らないものであったのだが。
米中対話を前に、高め誘導されていた元も、対話終了でまた戻している。人民元金利は、指標の好調さで高止まりしている。

豪ドル 「RBA副総裁発言で下げたが、ファンダメンタルズは好調」

経済指標好調、貿易は黒字で豪ドルは強い。ただ強い豪ドルのせいで、株価はやや弱い。先週はRBAが水を差した。基本的にはいつものRBA声明や議事録と内容は変わっていないが、市場はRBAデベル副総裁の発言に反応した。副総裁は「海外の中銀が利上げしたからといって、自動的に国内金利を引き上げる必要はない。豪ドル高が国内経済の成長効果を削ぐ」と指摘した。
また、先週のRBA議事要旨では、RBAが中立金利を3.5%と推定していることが明らかになった。現行の政策金利は1.5%であるため、市場は、タカ派的なメッセージと受け止めていた。これについても副総裁は「先の理事会で中立金利が議論されたことについては、深読みすべきではない」とし、中立金利は以前に比べて低下しており、今の1.5%は、1990年代や2000年代初めの1.5%ほど緩和的ではない」との認識を示した。先週は対円では若干下落したが、対ドルでは上昇。6月雇用統計の正規雇用の増加があった。豪ドルを売り続けられるほどのファンダメンタルズの弱さはない。今週の注目は4-6月期四半期CPIの発表である。

NZドル 「CPI低下で株価が史上最高値更新、NZドルは高止まり」

詳細は後述致します。

南アランド 「難問山積みと利下げでもこじっかり」

年初来通貨番付で先週は8位から6位、株価番付は13位から10位と上昇した。問題山積みの南アで、先週は意外な政策金利引き下げがあった。それでもランドはこじっかりと推移した。南ア中銀は政策金利のレポ金利を7.00%から0.25%引き下げ、6.75%とした。市場では据え置きが予想されていたため、政策金利発表後、南アランドは一時的に下落して反応した。中銀は、利下げを決定した理由として、経済成長が弱いことや物価の上昇圧力が和らいでいる点を挙げている。また、利下げと併せ、実質GDP(国内総生産)成長率とインフレ率の見通しを引き下げた。利下げしたのは、直前に発表された6月CPIが低下したこともある。一方、5月小売売上高は強かった。難問山積みでもランドが底堅いのは、やはり貿易収支が黒字を維持していることである。またリセッションに陥った南ア経済だが、財務相が驚きの6%成長を目指すとしたことも、若干は好感されているのだろう。
また、いよいよ8月8日にズマ大統領不信任案が採決されることとなった。ただ、投票が記名式か無記名式かはまだ決定していないようだ。いずれにせよ評判の悪いズマ大統領は12月のANC党首選(ズマ氏は出馬せず)を経て、19年には退陣する。少しでも早く退陣した方が、市場には良い影響を与えるという見方になっている。
念のためだが、現在の南アの格付はムーディーズが投資適格最低の「Baa3」、S&Pとフィッチが投機的水準に引き下げていることは、頭に置いておきたい。

トルコリラ 「通貨最弱、株価は最強。今週は政策金利。フィッチの格付の意味を考えたい」

先週末フィッチはトルコの格付を、ジャンク級の「BB+」、見通しを「安定的」で据え置いた。ジャンク級に下げたのは、今年の1月27日であった。昨年7月のクーデター未遂事件後の政治状況や治安の悪化が、「経済のパフォーマンスや公的機関の独立性を弱めている」と指摘されていた。ただ、その格下げ後、リラは上昇し、株価は今年の世界最強で30%を超える上昇を見せている。1Q成長率は5%と高いものとなった。筆者は常々格下げは絶好の買い場と言っているが、まさにそうなっている。格付会社を批判するのではなく、格付の正確な判断をするには慎重になり、かなりの月日がかかるということだ。実際に格下げされる頃には、格下げされる当事者も問題点を把握して対策をとっているので、格下時は「悪材料出尽くし」となりやすい。ギリシャ危機もそうであった。選択的デフォルトという最悪の「SD」まで格下げされたギリシャは、その後回復を続け、まもなく債券市場に復帰する(金利は当時の30%から現在は5%。今年はトルコとギリシャが株価番付2強だ)。ピンチはチャンス、格下げは大チャンスである。
さて、今週は政策金利の決定がある。CPIと失業率はともに11%台から低下して10%台となったが、まだ高い。中銀はインフレ抑制で据え置きにしたいところだが、大統領や与党AKPは常に利下げを求めている。また悪化し続けている対独関係も注目したい。非常事態宣言は7月19日から3カ月延長され、まだ治安の不安は残る。今年は1Qの成長率は高かったが、代償として財政赤字が膨らんだ。

【今週の注目経済指標】

7/24(月) (仏)7月製造業購買担当者景気指数(PMI)、7月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)
(独)7月製造業購買担当者景気指数(PMI)、7月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)
(ユーロ圏)7月製造業購買担当者景気指数(PMI)、7月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)
(加)5月卸売売上高
(米)6月中古住宅販売件数
7/25(火) (日)日銀金融政策決定会合議事要旨(6月15・16日開催分) 
(独)7月IFO景況感指数
(仏)7月企業景況感指数
(米)5月住宅価格指数、5月ケース・シラー住宅価格指数、7月消費者信頼感指数、7月リッチモンド連銀製造業指数
7/26(水) (NZ)6月貿易収支
(豪)4-6月期四半期消費者物価(CPI)
(仏)7月消費者信頼感指数
(英)4-6月期四半期GDP
(米)6月新築住宅販売件数、FOMC政策金利
7/27(木) (豪)4-6月期四半期輸入物価指数
(南ア)6月卸売物価指数
(トルコ)政策金利
(米)前週分新規失業保険申請、6月卸売在庫、6月耐久財受注
7/28(金) (豪)4-6月期四半期卸売物価指数(PPI)
(日)7月東京都区部消費者物価指数、6月失業率、6月有効求人倍率、6月全国消費者物価指数(CPI)
(独)7月消費者物価指数(CPI)
(仏)4-6月期GDP、7月消費者物価指数
(ユーロ圏)7月消費者信頼感・確報値、7月経済信頼感
(英)7月GFK消費者信頼感
(加)5月月次GDP
(米)4-6月期雇用コスト指数、4-6月期四半期GDP、4-6月期個人消費、4-6月期コアPCEデフレーター、7月ミシガン大消費者態度指数・確報値

先週の「注目通貨ペア!」の振り返り

先週の「注目通貨ペア!」

ドル円 南アランド円

【ドル円】予想レンジ:110-115、日本の貿易黒字に相応しい今年のドル円の円高。今週は日銀金融政策決定会合

先週も引き続き下落。日本の貿易黒字、オバマケア代替法案成立のメド立たず、ロシアゲート疑惑の混迷が深まり、大統領報道官の辞任などのドル売り要因があった。

先週の予想は以下の通り

ドル円は年初117円台で始まり、108円台まで下落。現在は112円台で、年初来ではやや円高。今週は日本の6月貿易統計の発表があるが、6月中旬までは年初来で7,550億円の黒字で、前年同期間の1兆3,920億円の黒字からは6,370億円減少。昨年より緩やかな円高となっているのは、この貿易黒字の減少であり、ドル円の相場推移としては違和感のない動きだ。米国が貿易赤字、日本が貿易黒字では、ドル円の上昇を望むのはかなり無理がある。米金利の上昇でドルが上がっても、一時的なもの、デイトレード的なものに終わる。
投資信託の残高が6月末時点で101兆円余りとなり、日本やアメリカで株価が上昇したことなどを受けて、およそ2年ぶりに100兆円台を回復した。ただそのうち外貨投信残高は20兆円後半で推移しており、日本のマネーが特に外貨投資に向かっているわけでもない。
日銀は今週の金融政策決定会合で、2017年度と18年度の物価見通しと実質成長見通しを修正する。物価は17年度を従来の1.4%から1%前後まで引き下げ、18年度も引き下げる方向で検討を進めている。18年度頃としている2%の達成時期についても、先送りするかどうかを議論する。
成長率は17年度を小幅上方修正する方向に傾いている。このため、需給ギャップの改善基調が続き、物価2%目標に向けた勢いは維持されているとの見方が大勢で、現行の金融緩和策を維持して、景気を支えていく姿勢を鮮明にする。
ただ、景気回復の実感はない。5月家計調査によると、2人以上の世帯が使ったお金は28万3,056円だった。物価変動の影響を除いた実質で、前年同月より0.1%減少。15カ月連続の減少となっている。社会負担が増え、お酒の安売り禁止があり、マイナス金利で可処分所得が減れば当然の結果であろう。消費増税などあれば、さらに消費は減退しよう。

テクニカル

「ボリバン上限で2本の長い上ヒゲを出し、ボリバン中位まで下落」 

日足は、7月10日-11日に長い上ヒゲを残し、7月3日-7日の上昇ラインを下抜き下落。7月11日にはボリバン上限に達していた。7月11日-14日の下降ラインが上値抵抗。6月14日-7月17日の上昇ラインがサポート。5日線下向き。
週足は、4週連続陽線でボリバン上限近くへ上昇も先週は反落。2017年6月12日週-26日週を下抜く。2016年11月7日週-2017年6月12日週の上昇ラインがサポート。
月足は、2017年1月-5月の下降ラインを上抜き、雲の上へ一旦出るも、再び今月は上ヒゲを出し下落している。2012年10月-2014年8月のアベノミクス上昇ラインを下抜けている。2015年12月-17年1月の下降ラインが上値抵抗。
年足は、2012年-2013年の上昇ラインを下抜く。ただ2016年は終盤にきて下ヒゲが大きく伸びた。2017年は陰線スタート。2015年-2016年の下降ラインに沿う。2013年-2016年の上昇ラインがサポート。

【南アランド円】 予想レンジ:8.20-9.20、難問山積みも底堅い。今週はCPI、小売売上の後に政策金利決定

CPI低下や予想外の利下げがあったが、強い小売売上、株価の上昇もあり大きく下落せず、週単位では若干の下落にとどまった。

先週の予想は以下の通り

ポイント

今週はCPI、小売売上の後に政策金利決定がある
財務相は国有企業の民営化を打ち出した
財務相は6%成長を目指すとした
IMFの成長見通しは1%
中銀総裁は物価安定を目指すと発言
ズマ大統領不信任案採決は8月8日
問題山積。中銀国有化、土地改革加速、中銀の使命変更提案、黒人の最低資本参加率を上げる、リセッション、格下げ、大統領不信任案
ギガバ財務相は景気回復のため海外からの支援を受け入れることを示唆
5月貿易収支は黒字、年初来累計も黒字で南アランドを支えている
南アの成長率はアフリカ全体より低い
ムーディーズは南アの格付を「Baa3」に引き下げた。見通しは「ネガティブ」
中銀は再びインフレが上昇することを懸念
通貨安でもインフレが上昇することを懸念
2016年は南アへの投資は流入超で南アランドを支えている
S&Pとフィッチが南アの格付を投機的水準に引き下げ
COSATUがズマ大統領へ辞任要求
次期大統領候補の一人はズマ大統領の元妻。対抗はラマポーサ副大統領
今年は12月に与党ANCの党首選がある

トピックス

問題山積でも底堅い南アランド

問題山積の要因は何だろう?やはり景気後退である。その責任を誰にとらせるかで、大統領不信任案となり、中銀の業務制限提案などが出てきている。中銀がインフレを抑制するために政策金利を引き下げないことや通貨を上昇させていることまで批判されている。その他中銀国有化、土地改革加速、黒人の最低資本参加率引き上げ、格下げなどの問題がある。政府不信が暴動などに繋がっていないことが救いだ。
ただ南アランドは底堅い。通貨番付は8位で円よりも強い。株価も年初来3%高とマイナス圏となっていないのは、輸出増によるものであろう。貿易は昨年に続き、今年も黒字を維持している。

政策金利は

今週の南ア中銀の政策決定会合では政策金利は7.0%に据え置かれる見込みである。インフレはターゲットの3-6%に戻ったとはいえ、インフレの上昇は世界的に緩やかであり、タカ派の中銀総裁も慎重なかじ取りを行うであろう。

クガニャゴ中銀総裁

クガニャゴ中銀総裁は、物価安定と通貨価値防衛という使命を放棄すれば、南アは長く苦しい景気後退に陥るリスクがあると主張し、護民官による中銀の使命変更提言に改めて反論した。
同総裁は、経済成長重視に軸足を移せという護民官の提言は、物価高騰の持続がもたらす危険性を正しく理解していないと指摘。「過去半世紀にわたり、当局が紙幣増刷で成長をもたらそうとした結果、歯止めが効かなくなったインフレを下げるために必要となった措置により、痛みの伴う景気後退を招いた例は、枚挙にいとまがない」と述べた。
護民官が突然、中銀の使命変更を求めたことで投資家に混乱が広がり、通貨ランドが急落する事態になった。その後中銀は護民官の提言が法的に無効だとの確認を裁判所に請求。議会や与党・アフリカ民族会議、ギガバ財務相は相次いで提言は政府の不正を監視するという護民官の職務を逸脱していると批判した。
物価上昇率は現在5.4%。中銀は6%未満に抑えることを目標としている。クガニャゴ氏は「金融政策は常に持続的な経済成長を後押ししている。過去の経験からは、物価上昇率が低い方が、成長率はより力強く、より着実になることが分かっている」と強調した。

国有企業の民営化

ギガバ財務相は、景気後退からの回復を目指し、国有企業の一部民営化や国有の非中核資産の売却を含めた14項目の景気刺激策を発表した。
労働組合と連携する与党アフリカ民族会議(ANC)にとって、民営化はこれまで忌避すべき言葉に近く、今回の計画は方針の大転換となる。計画は反対に直面しそうだが、南ア経済が1Qに2009年以来、初めて景気後退に陥り、失業率の上昇や格付引き下げに直面している今、ズマ政権は何らかの行動を起こさざるを得ない。
財務相は「発表した項目はすべて、信頼を回復し行動を示すための重要な介入だ」と述べた。ANCと連携する南アフリカ労働組合会議(COSATU)は計画について、「原則の放棄だ。財務相は民営化の道を行こうとしているが、これはわれわれが数十年かけて反対してきたことだ」と反発した。
南アには300以上の国有企業があるが、国庫の負担になっており、格付会社は格付を脅かす要因だと指摘している。この中には南アフリカ航空、電力会社エスコム、物流グループのトランスネットなどが含まれる。どこから手を付けるかについては、財務相は明らかにしなかった。

2Q-BER消費者信頼感指数

前回▲10のところ結果▲9となった。

今年の南ア関連資源価格

ズマ大統領の不信任投票は8月8日。記名か無記名か

ズマ大統領の不信任投票が、8月8日に実施される。国民議会議長はまだ、不信任投票を無記名投票とするかどうか、決定していない。

テクニカル

「難問山積も底堅くボリバン上限へ」

日足は、7月10日-11日の下降ラインを上抜く。7月12日-14日の上昇ラインがサポート。6月27日-29日の下降ラインも上抜く。5日線上向き。ボリバン下限の下抜きから上限へ。
週足は、難題山積も横ばい続く。6月26日週-7月3日週の下降ラインを上抜く。3月20日週-27日週の下降ラインが上値抵抗。5月15日週-7月10日週の上昇ラインがサポート。
月足は、3月-4月の下降ラインを上抜くも、4月-5月の上昇ラインを一旦下抜く。しかし再び上抜き返す。2017年4月から3カ月連続陽線。今月もここまで陽線。2016年11月-2017年4月の上昇ラインがサポート。
年足は、2008年-2011年の下降ラインを上抜いた。16年は最強通貨で陽線。2006年-2015年の下降ラインが上値抵抗だが近い。

今週の「注目通貨ペア!」

今週の「注目通貨ペア!」

ドル円 NZドル円

【ドル円】 予想レンジ:109-114、貿易黒字とマイナス金利で円高誘導

引き続き、日本の貿易黒字に相応しいドル円の円高が続いている。1-6月で約1兆円の貿易黒字で、昨年より黒字幅は縮小した。16年1-6月は約1.7兆円の黒字。ユーロ圏の膨大な貿易黒字や、普段は貿易赤字になりがちな豪、NZ、南アなども貿易黒字となっていることもあり、クロス円はそれらの国に対しては円安推移している。
また、ドル円の日足では、7月11日のボリバン上限からボリバン下限まで到達したこともあり、少しは警戒感ももちたい。ただ、今後は円買いが出やすい夏場に近づくので大きなドル円のリバウンドはないだろう。気をつけるとしたら、1Qより強い数字が予想されている米国2QGDPだ。
日銀は株や債券は買い支えているが、ドル円はG20の約束で介入が出来ないこともあり、円高となっている。また、マイナス金利による可処分所得の減少は消費の減退を生み、ひいては輸入の減少となり円高となる。筆者もバブル時代のように金利が8%あれば、もっとお金を使って円安に貢献できたと思う。低金利にすれば企業のコスト削減になると言うが、日本は貸出より預金が多い国である。少数の貸出より多数の預金者を大事にした方が国のメリットとなる。家計消費支出は15カ月連続減少となっているが、7月28日に発表される6月分は、新車販売の増加もあり16カ月ぶりにプラスとなるようだ。
金利差でドルを買うという相場見通しがあるが、それはまったく実現していない。今も昔もいつもそうである。筆者は長期の債券投資が好きだが、やはりそれは利回りが高いから買うのであって、年初来、利回りが低下している米国債を買う気にはならない。やはり5%とか10%の利回りがあって、万が一の為替差損も相殺できる見通しがあるものを買う。利上げ観測でドルを買う人は、需給に関係がなく、買ったらすぐ売ってしまうだけなので、ドル円を上昇させることはできない。

テクニカル

「ボリバン上限での2本の長い上ヒゲからボリバン下限へ到達」

日足は、7月10日-11日に長い上ヒゲを残し、7月3日-7日、6月19日-22日の上昇ラインを下抜き下落。ボリバン上限から下限へ到達。7月11日-14日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。
週足は、4週連続陽線でボリバン上限近くへ上昇も反落。2017年6月12日週-26日週を下抜く。2016年11月7日週-2017年6月12日週の上昇ラインがサポート。2017年7月10日週-17日週の下降ラインが上値抵抗。
月足は、2017年1月-5月の下降ラインを上抜き、雲の上へ一旦出るも、再び今月は上ヒゲを出し下落している。2012年10月-2014年8月のアベノミクス上昇ラインを下抜けている。2015年12月-2017年1月の下降ラインが上値抵抗。2017年4月-6月の上昇ラインがサポート。
年足は、2012年-2013年の上昇ラインを下抜く。ただ、2016年は終盤にきて下ヒゲが大きく伸びた。2017年は陰線スタート。2015年-2016年の下降ラインに沿う。2013年-2016年の上昇ラインがサポート。

【NZドル円】 予想レンジ:80-85、CPI低下で利上げ観測後退も、底堅い

ポイント

2QCPIは弱く、利上げ観測が後退
先週の経済指標も強くはなかった
財政は引き続き良好であり、内外から評価されている
対外純債務がGDP比で1980年代末以来の水準に低下
首相支持率は野党ライバルたちを大きく引き離している
乳製品価格、3回ぶりの上昇
株価が史上最高値を更新した
中国経済の回復もNZドルを支えている
NZ中銀は過去に利上げしつつNZ売り介入を行ったことがある
5月貿易収支は予想の黒字を下回ったが1-5月では黒字を維持
中銀はNZドル高を嫌うがアクションはとっていない
1Qの交易条件指数は、1973年以来、約40年ぶりの高水準となった
中国からの旅行者に特別待遇を与える
財務省は財政黒字の拡大、成長見通しの上方修正を発表
ムーディーズがNZの財政を評価
景気拡大の原動力の移民は増加継続だが移民削減が計画されている
IMFはNZの家計債務に警告した(住宅価格高騰で)
S&PはAA格付を維持(ムーディーズはAaa)
観光業が、GDPへの貢献度では乳製品輸出を上回るようになった
NZ中銀総裁は9月に退任
NZ総選挙は9月に実施

2QCPIは低下 利上げ観測後退

2QCPIは、総合に相当する「オールグループ」が前期比横ばい。伸びは予想(0.2%上昇)に届かなかった。前年比では1.7%上昇。こちらも予想(1.9%上昇)を下回る伸びだった。政策金利は今年いっぱい据え置かれる見込みが強くなった。

首相支持率

ヘラルド・ZBカンター・TNSが行ったオンラインアンケートによると、イングリッシュ首相の支持率が41%に上ったことがわかった。一方、労働党党首のリトル氏は10%、ファースト党党首のピータース氏は9%となり、イングリッシュ首相の支持率は圧倒的な高さを誇った。また、政府の運営は正しいと回答した人は41%で、正しくないと回答した人(32%)、わからないと回答した人(27%)よりも多かった。

バスキャンドNZ中銀副総裁

対外純債務が国内総生産(GDP)比で1980年代末以来の水準に低下しており、国内経済の耐性が高まっているとの認識を示した。2009年初めには約85%だったが、8年経過して58.5%になったと指摘。一般に対外純債務が高いと国内外からのショックに対して国内経済は脆弱となる。比率低下は海外の貸し手や投資家にとってNZのリスクがやや低下したことを示す。

乳製品価格、3回ぶりの上昇

乳製品大手フォンテラが実施した入札で、乳製品の国際価格を示すGDT価格指数は0.2%上昇と、わずかながらプラスに転じた。バター価格の上昇が要因。指数は前回、0.4%低下していた。農家やアナリストらは、価格低下が2年間続いた後の2016年の50%回復が、一時的なものにとどまると懸念していた。ただ、世界的に供給がタイト化していることを受け、最近数カ月の価格は回復基調にある。

株価は史上最高値更新

2QCPIが予想を下回り、金融引き締め観測が後退したことを受け、NZ株価指数は史上最高値を更新した。