月曜 野村雅道の今週注目!の経済指標 マーケットが注目する指標を大胆解析

ドルは膨大な貿易赤字に相応しい弱さを維持

更新日:2017年7月18日

7月17日(月)-7月21日(金)

今週の予想:
ドル円=110-115、ユーロドル=1.12-1.17、ユーロ円=127-132

米ドル 「米国は膨大な貿易赤字によるドル安で経済成長を続けてきた。その是正を望むのだろうか、トランプ大統領」

表は最近2年のドルインデックスである。ドルが今年は一方的に下落し続けているのは一目瞭然。

先週、ドルは最弱通貨であった。年初来では12通貨中で11位。膨大な貿易赤字にふさわしい位置にいる。金利動向は一時的にはドルを動かすが、長期的には影響せず、貿易収支がドルの動向を決める。
トランプ大統領は、G20で安倍首相に、また今週は米中包括経済対話で中国にも貿易不均衡の是正を迫るが、貿易赤字によるドル安が米国経済発展の大きな理由の一つでもある。
さて、FRBは1Qのインフレ低下は、携帯電話料金や処方箋薬の価格低下による一時的なものとしていたが、2QのCPIも上昇していない。6月CPIは前月から横ばいとなった。インフレ圧力が緩慢であることを示唆し、FRBが年内に今年3度目となる利上げに踏み切れるか、疑問視されるかもしれない。ガソリンのほか、携帯電話サービスが一段と値を下げ、物価全体を抑制した。当局者のインフレ見通しを巡る発言は、今後はより慎重になっていくだろう。
また6月小売売上高は前月比0.2%減と、2カ月連続でマイナスとなった。ガソリンスタンドや衣料品店、スーパーでの売上が減った。外食や趣味関連も落ち込んだ。また7月ミシガン大消費者態度指数は93.1と、予想の95.0、6月の95.1を下回った。
イエレンFRB議長は、米経済は緩やかな利上げとバランスシート縮小を吸収できるほど十分健全だとの認識を示した。ただ低水準のインフレ率や自然利子率により、利上げの余地は限られる可能性もあるとした。
イエレン議長の証言を受け、米国市場では株高、債券高の展開となった。CMEフェドウオッチによると、短期金融市場が織り込む12月の会合で少なくとも0.25%の利上げを決定する確率は47%となっている。前日は55%近辺だった。エバンズ・シカゴ連銀総裁は、インフレ率が目標を根強く下回っている状態は「深刻な政策達成の失敗」とし、利上げを非常に緩やかなペースで進めていくことに改めて支持を表明した。

ユーロ 「ECB理事会で政策転換の示唆はあるか」

英米と違って指標は相変わらず好調だ。5月ユーロ圏貿易統計では、輸出、輸入ともに大幅に増加した。輸出は前年比12.9%増の1,896億ユーロ、輸入は16.4%増の1,681億ユーロ。5月の輸出入額はいずれも今年3月に次いで過去2番目の大きさとなった。貿易収支は214億ユーロの黒字。輸入の伸びが輸出をやや上回ったことから、黒字幅は前年同期の234億ユーロから縮小したが、長期的には膨大な黒字を出し続けている。5月鉱工業生産指数は、前月比1.3%上昇、前年同月比4.0%上昇と、予想の前月比1.0%上昇、前年比3.6%上昇をそれぞれ上回った。
エコノミストの予想として、ECBが今週の理事会で金融政策に関するガイダンスを変更しないと見込むのは56%、ECBが量的緩和の規模のみについて緩和バイアスを削除すると予想するのは28%、量的緩和のすべての緩和バイアスを削除するとの予想は13%となっている。
9月の理事会で、債券買い入れの段階的縮小、超緩和的金融政策からの転換を発表する公算が大きい。テーパリングの開始は2018年初めと見られている。インフレ見通しは政策転換の必要性を示唆していないものの、欧州経済の成長回復や当局者の発言を踏まえると、ECBの政策転換が近いことが予想できる。ただインフレ圧力がない状態で、経済成長率が循環的上昇局面にあるという他の多くの中銀と同じ問題に直面している。9月理事会ではエコノミストの47%がテーパリングを発表すると予想、25%が政策変更は発表しないと予想した。
またドラギ総裁は、8月下旬にジャクソンホールで開催されるカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムに出席する。そこで債券購入プログラムに関する9月の決定について、手がかりが出てくる可能性がある。
さて、ユーロ圏を主導するドイツ経済は2Qも景気の拡大に弾みがついたとの認識をドイツ財務省が示した。純輸出は経済成長には寄与しない見通しだが、民間消費や建設活動が拡大したという。鉱工業生産は年明け以降、5カ月連続で増加。IFO業況指数などのセンチメント指標も記録的な高水準にある。消費者物価は引き続き大幅に上昇しているが、個人消費は実質ベースで増えている。雇用もペースは鈍化しているものの、拡大は続いているという。

英ポンド 「中銀内でも意見がマチマチ。指標は弱い。次回金融政策決定は8月3日」

英中銀の意見もいろいろであり、その度にポンドも右往左往。先週は上昇へ傾いた。7月12日にはブロードベント副総裁が、まだ利上げの準備はできていないと述べたが、その後マカファーティー金融政策委員は、想定よりも早い量的緩和(QE)の解除を検討すべきとの見解を示した。同委員は6月の金融政策委員会で利上げを主張。8月会合でも0.25%の利上げを支持する意向を示した。堅調な雇用関連指標と、失業率が42年ぶりの低水準であることを理由に挙げた。英中銀の現在の政策は、金利が現在の水準を大きく上回るまでQE解除を開始しない方針を示している。マカファーティー委員を除く英中銀の政策当局者はこの方針の修正を提案していない。
ただこのところの英国経済指標は弱い。製造業PMI、建設業PMI、サービス部門PMI、鉱工業生産指数、製造業生産指数、新車登録台数などがいずれも弱かった。貿易収支も赤字のままであった。
8月3日の金融政策委員会では、5対3で金利据え置きの公算である。6月の前回会合では利上げ賛成派が予想外の3に上ったことで、ポンドが上昇。利上げ支持はフォーブス、マカファーティー、ソーンダーズの3委員だった。マカファーティー、ソーンダーズの2委員に加え、6月30日付で退任したフォーブス委員に代わり、ハルデーン理事が利上げ賛成に回った場合でも、現状維持派が優位のようだ。

人民元 「米中経済対話を控え、人民元高め誘導と米国からの農産物買い付け。2QGDPは予想を上回った」

7月16日の米中貿易不均衡是正100日の期限、7月19日からの米中包括経済対策を前に中国も苦心している。人民元を高め誘導したり、米国からは、大豆、豚肉、牛肉を大量に買い付けた。総額50億1,200万ドル。
さて6月貿易統計は、輸出入ともに市場予想を上回る伸びとなった。中国製品に対する国外からの需要や、建設資材への国内需要の強さに支援された。ただ中国当局による融資抑制で今後、輸入が圧迫される可能性もある。輸出(ドル建て)は前年同月比11.3%増加し、予想の8.7%増を上回った。輸入は前年同月比17.2%増で、予想の13.1%増を上回った。対米貿易黒字は254億ドルで、5月の220億ドルから増加して米中経済対話を迎える。
6月CPIは前年比1.5%上昇。CPIの最大の項目である食品価格は、前年比1.2%低下。6%の高い成長でCPIが1%台というのは素晴らしいことではないだろうか。6月は製造業PMIも改善した。昨日は2QGDP、6月小売売上高、鉱工業生産が発表されたが、いずれも予想を上回った。G20で安倍首相は習国家主席に「一帯一路」政策に協力することを表明している。また、AIIBはムーディーズに続き、フィッチからも最高格付のAAAを付与された。
その他、週末に中国全国金融工作会議が開催された。同会議は1997年以降5年に一度開催。国務院や中国人民銀行総裁のほか、銀行、証券、保険の各管理監督委員会主席、全国の各行政区トップが参加し、2日間にわたって行われた。2012年に開催された前回の会議では、主に金融業の実体経済への資金供給機能を強化し、経済のバーチャル化を防ぐことが提起された。一方、ある専門家は、この5年間において、資金は「バーチャル経済」に向かい、監督管理などの問題も依然として深刻であると指摘。このような背景の下、金融リスクの予防や管理監督体制の改革を求める声が高まっている。

豪ドル 「2Qは経済指標好調、今週はRBA議事録、雇用統計」

豪ドルは引き続き強く、3週連続陽線となった。小売売上高、輸出好調もあったが、先週、7月消費者信頼感指数が前月から0.4%上昇し、96.6となった。前月までは3カ月連続で低下していた。6月企業景況感指数は4ポイント上昇の+15で、2008年前半以来の高水準。幅広い業界で売上と利益が拡大しており、長期平均の+5を大きく上回った。企業信頼感指数は1ポイント上昇し+9。こちらも長期平均を上回っている。大半の業界は好業績となっている。企業景況感指数の上昇は取引状況と利益の改善が大きな要因で、需要の拡大を示している。また中国の経済指標が堅調なことも豪ドルを支えている。鉄鉱石価格や原油価格も先週は反発した。1Qは低迷した小売売上は4月、5月と底堅く、2QGDP拡大に寄与しよう。懸念は財政赤字縮小のためにとられた銀行課税には、不満が強いこと。ムーディーズは住宅債権が過大なことから銀行を格下げした。政府は外国人の不動産購入にかかる税率を引き上げ、住宅価格抑制策を打ち出している。今週はRBA議事録、雇用統計がある。

NZドル 「2QCPIは予想を下回り利上げは遠のいた」

今年のNZドル円は8週連続で大きく下げた後、最近は7週連続で急速に戻している。ただ先週のNZ経済指標は弱いものが多く、地震もあり8週連続陽線とならず、先週は対円で陰線となった(対ドルでは陽線)。
今年は中国経済の回復もNZドルを支えている。今週は中国のGDPや米中包括経済対話にも注目したい。国内的にはCPIと政策金利決定が焦点となる。1QCPIはインフレターゲット2-3%の下限値の2%を超える2.2%となったが、今朝発表されたCPIは1.7%上昇となりNZドルは急落している。予想は1.9%に低下だった。1.9%はおろか、1.7%では8月9日の政策金利決定で利上げ要因とならない。
中銀の悩みは住宅価格急騰で利上げをしたいところだが、利上げをすればNZドルも上昇する恐れがあり、ここまでのNZドル安での景気回復に水を差すことだ。住宅価格高騰抑制のために、これまでも利上げをせずに住宅融資規制や外国人の不動産購入規制も行っている。中銀はNZドル高も嫌うところで、上昇時にはNZドル売り介入もこれまで通りに行う可能性もある。ただNZドルの上昇は投機的なものではなく、貿易収支の黒字化による需給の自然な流れでもある。また財政黒字の拡大、成長見通しの上方修正は、海外から評価され資金の流入を生み出している。
先の話だがNZ中銀総裁は9月に退任する。またNZ総選挙は9月に実施される。

南アランド 「難問山積みも底堅い。今週はCPI、小売売上高の後に政策金利決定」

詳細は後述致します。

トルコリラ 「クーデター未遂事件から1年、17年は5%成長見通し、通貨は弱いが株価は最強」

2016年7月15日のクーデター未遂事件から1年経った。トルコリラ円は36円から29円まで下落し、現在は31円台と未だ弱い。一方イスタンブール100種株価指数は、8万2千台から7万1千台へ下落するも、現在は10万6千台。クーデター事件前の相場水準をはるかに超え、今年は世界最強株価指数でもある。事件後、クーデターに関与すると見られる5万人を投獄、公職にある15万人を解雇停職処分とした。大統領の権限を強化し、非常事態宣言を出し、治安を安定させた。リラ安対策では大統領自身を含め、主要企業に外貨を売らせリラを買わせた。また最近ではFXでのレバレッジや投資金額を制限し、投機的な動きを抑制した。
景気支援策も功を奏し、17年1Qの成長率は5%となった。主要産業の観光も急速に回復している。力づくとはいえ、治安の安定や外部要因であるISの勢力減退も、景気回復を支援した。
ただ元々与党AKP(公正発展党)も前回の選挙で得票率では50%を切っており、反対派勢力の巻き返しやテロの不安もなくなったとは言えない。トルコで一番重要なのは治安である。治安が安定すれば景気回復にもつながる。今はそれが薄氷を踏みながらも進んでいる。今週は4月失業率の発表があった。10.5%と高水準だが、3月の11.7%からは大幅改善した。

【今週の注目経済指標】

7/17(月) (中)6月小売売上高、6月鉱工業生産、4-6月期四半期GDP
(トルコ)4月失業率
(加)5月対カナダ証券投資額
(米)7月NY連銀製造業景気指数
7/18(火) (NZ)4-6月期四半期消費者物価(CPI)
(豪)RBA議事要旨
(独)7月ZEW景況感調査
(ユーロ圏)7月ZEW景況感調査
(英)6月消費者物価指数、6月小売物価指数、6月卸売物価指数
(米)6月輸入物価指数、7月NAHB住宅市場指数、5月対米証券投資
7/19(水) (ユーロ圏)5月建設支出
(南ア)6月消費者物価指数(CPI)、5月小売売上高
(加)5月製造業出荷
(米)6月住宅着工件数、6月建設許可件数
7/20(木) (日)日銀金融政策決定会合、6月貿易統計
(豪)6月雇用統計
(スイス)6月貿易収支
(独)6月生産者物価指数(PPI)
(ユーロ圏)ECB政策金利、7月消費者信頼感
(英)6月小売売上高指数
(南ア)SARB政策金利
(米)前週分新規失業保険申請、7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
7/21(金) (英)6月財政収支 (加)6月消費者物価指数(CPI)、5月小売売上高

先週の「注目通貨ペア!」の振り返り

先週の「注目通貨ペア!」

ドル円 豪ドル円

【ドル円】予想レンジ:ドルも安いが円もやや安くなってきた

イエレン議長議会証言でハト派的発言があったことを証明すべく、米CPIの伸び悩み、弱い小売売上でドル円は下落した。

先週の予想は以下の通り

12通貨の主要通貨番付では米ドルが11位、円が8位といずれも弱い。
6月上中旬の日本の貿易統計では、1,389億円の黒字で前年同期の3,051億円の黒字から減少した。年初来では7,550億円の黒字で前年同期間の1兆3,920億円の黒字からは6,370億円減少している。黒字の減少が今年の大幅ではない小幅な円高につながっている。輸入の伸びは原油価格の上昇が影響していたが、このところの原油価格の下落は、この先数カ月の貿易統計で反映されるだろう。
G20サミットでの安倍首相との会談で、トランプ大統領は対日貿易赤字と市場アクセスに言及した。トランプ氏は大統領就任前に対日貿易赤字を問題視していたが、就任後の安倍首相との首脳会談で言及したのは初めてとみられる。貿易不均衡が是正されればドル高円安要因だが、日本の対応が遅いと為替相場でもトランプ大統領は攻撃してくるだろう。
2016年度のGPIFの運用収益は2年ぶりに黒字に転換した。株では収益増、外債は収益減少となった。日銀が株で介入し株価は上昇したが、為替では介入できず円高が進んだことによる。株が上がるのは結構なことだが、株を持たざる者には何の恩恵もなく、マイナス金利で預金残高は増えない。結局は広く消費が増加しないこととなり、家計支出は15カ月連続減少となる。
7月19日の日銀金融政策決定会合では、2017年度を中心に消費者物価見通しの下方修正を検討する可能性が大きい。5月の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は、前年比0.4%上昇と5カ月連続のプラスとなったものの、日銀の当初の想定よりも動きは緩慢だ。足元の物価動向を踏まえれば、物価見通しは4月の17年度平均のプラス1.4%は厳しい情勢で、下方修正が議論となる可能性が大きい。そういうことも考慮し、日本国債の利回りが0.1%を超えたところで、日銀は、国債を固定利回りで無制限に購入する「指し値オペ」と国債買い入れの増額を実施したようだ。
今週は黒田総裁の発言やさくらレポートの公表がある。

テクニカル

「月足、先週触れた1-5月の下降ラインを上抜いた」

日足は、7月5日-6日の下降ラインを上抜く。ボリバン上限に達して小反落。7月3日-7日の上昇ラインがサポート。5日線上向き。
週足は、4週連続陽線でボリバン上限近くへ。3月6日週-5月8日週の下降ラインを上抜く。2017年6月12日週-26日週、2016年11月7日週-2017年6月12日週の上昇ラインがサポート。
月足は、2017年1月-5月の下降ラインを上抜き、雲の上へ。2012年10月-2014年8月のアベノミクス上昇ラインを下抜けている。2015年12月-2017年1月の下降ラインが上値抵抗。
年足は、2012年-2013年の上昇ラインを下抜く。ただ2016年は終盤にきて下ヒゲが大きく伸びた。17年は陰線スタート。2015年‐2016年の下降ラインに沿う。2013年‐2016年の上昇ラインがサポート。

【豪ドル円】 予想レンジ:84-89、小売売上、輸出好調で2QGDPは拡大か

豪国内指標改善、鉄鉱石価格反発、中国指標改善で上昇。

先週の予想は以下の通り

ポイント

RBA政策金利は予想通り据え置きとなった。一部で利上げ思惑があり、声明で将来の利上げ示唆があると思われたが、かなわず豪ドルは一旦下落
小売売上高、貿易面では改善しファンダメンタルズはまずまず
鉄鉱石価格の上昇で豪ドル上昇
中国製造業PMI上昇も好感
ただ通貨上昇で株価は伸びず
初公表となった製造業PMIは改善
雇用は改善
インフレは落ち着いている
2QGDPは拡大見込み
銀行課税には不満が強い
1Q住宅価格は前期比2.2%の上昇
ムーディーズが銀行を格下げ
景気後退しないというGDP成長の最長記録でオランダと並ぶ
外国人の不動産購入にかかる税率を引き上げ
RBAは豪ドル高に神経質
1QCPIは2.1%へ上昇
設備投資、賃金はまだ弱い。企業利益は好調
首相支持率は低下継続

トピックス

政策金利

RBAは政策金利のオフィシャルキャッシュレートを予想通り過去最低の1.50%に据え置くとともに、経済や金利見通しに中立な姿勢を示した。欧州やカナダなどでは最近、中銀が金融引き締めの方針を示唆しており、これとは異なる結果となった。一部ではRBAも追随するのではないかとの観測が出ていたため、豪ドルの買い持ちを積み上げている投資家もあったので、政策金利据え置き発表後、豪ドルは下落した。

RBA声明

ここ1年のコモディティー価格の上昇は、豪州の国民所得を押し上げた。過去1年間で上昇したインフレ率は、原油価格の下落を受けて最近低下した。
賃金の伸びとコアインフレ率は、大半の国で依然抑制されている。
予想通り、1QGDPの伸びは、一時要因の影響などで減速した。
鉱業投資ブームがほぼ終わり、低調な鉱業投資へ移行するなか、豪経済は徐々に堅調になる見通し。
消費の伸びは依然控えめで、実質賃金の緩やかな成長と家計の借金が高い水準にあることを反映している。
雇用の伸びは、過去数カ月にわたり堅調に推移している。賃金の伸びは依然鈍く、当面の間はこうした状況が続く可能性がある。
インフレ率は経済が上向くにつれ、次第に上昇するとみられる。見通しは引き続き低水準の金利に支援されている。
2013年以降の通貨安も、鉱業投資ブーム後の移行期の経済を支えている。通貨高はこの調整を複雑にする可能性がある。
住宅価格が大幅に上昇している地域もあるが、こうした状況が和らぎ始めている兆しもある。
入手可能な情報を考慮し、理事会は今回の会合で金融政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と整合的と判断した。

小売売上高改善

5月の小売売上高は、前月比0.6%増加し、予想の0.2%増を上回った。4月は1.0%増。4-5月は2013年末以来最も好調な2カ月となった。2カ月連続で堅調な数字となったことで、消費者は2Qの経済成長をしっかりと押し上げている。ただ、ファンダメンタルズは依然弱く、失業や昇給がないかもしれないとの不安があり、景気が転換期に達していると判断するのは難しいとの見方がある。
一方、可処分所得に対する負債が190%と過去最高水準にあるなか、中銀は中立的な政策スタンスを維持すると、エコノミストは予想している。
雇用市場には回復の兆しがある程度みられるものの、賃金の伸びのペースは過去最低となっている。5月の小売売上高の内訳は、家庭用品が2.2%、靴・装飾品が1.3%、外食関連は0.6%、それぞれ増加した。オンライン販売指数は1.3%上昇。前月はマイナスを記録していた。

5月貿易収支、黒字拡大

5月貿易収支は、24億7,100万豪ドルの黒字となった。黒字は7カ月連続。市場予想の11億豪ドルの黒字を大幅に上回った。
輸出額は前月比8.5%増の327億8,100万豪ドル。モノの輸出の内訳を見ると、鉄鉱石を中心とする金属鉱石・鉱物が7.0%減の74億6,600万豪ドル、石炭が61.7%増の50億3,500万豪ドル、その他鉱物燃料が39.1%増の32億8,600万豪ドル。また、食肉が5.3%増の9億8,000万豪ドル、穀物が14.9%増の8億9,200万豪ドル、非貨幣金は2.9%増の15億1,500万豪ドルだった。
国別の輸出先は、中国89億2,200万豪ドル、日本40億4,400万豪ドル、韓国16億7,300万豪ドル。
輸入額は0.7%増の303億1,000万豪ドル。うち乗用車などの非産業用輸送機械は21.3%増の22億7,000万豪ドルだった。
国別の輸入先は、中国48億6,600万豪ドル、米国26億1,200万豪ドル、日本14億9,500万豪ドルの順となった。

自動車販売好調

6月の新車販売台数は前年比4.4%増の13万4,171台と、2カ月連続で増えた。6月は会計年度の最後に向け、ディーラーが在庫一掃の努力をするため、販売が例年増加する。
スポーツ多目的車(SUV)の販売台数は前年比11.7%増。超大型車は約21%増加した。小型商用車は12.2%増、重車両は9.2%増加した。 メーカー別シェアは、トヨタ自動車が18.3%でトップ。マツダは9.3%、現代自動車が9.1%。ゼネラル・モーターズ(GM)のホールデン部門と三菱自動車は6.9%、フォード・モーターは6.6%だった。

上海鉄鉱石価格が反発

上海先物取引所の鉄筋先物が7月5日の取引で上昇し、約3年半ぶりの高値を付けた。環境汚染および過剰生産能力への対応策として中国政府が質の低い一部製鉄所を閉鎖したことを受け、需給が一段と引き締まるとの見方が強まった。 中国は今年上半期に低級の建築用鋼材を生産する製鉄所を600カ所以上(生産能力は約1億2,000万トン)閉鎖した。これらの製鉄所では環境負荷の大きい誘導炉が使用されていた。
鉄筋先物の中心限月は一時、2014年1月以来の高値となる1トン=3,474元(511ドル)を付けた。中盤時点では1.3%高の3,436元。8営業日連続で上昇しており、年初来の上昇率は29%となっている。
豪の株式市場で、金属・鉱業株指数も同日一時1.27%上昇し、1カ月半ぶりの高値圏を付ける場面があった。供給タイト化への警戒感が広がる中、上海先物取引所の鉄筋先物が、3年半ぶりとなる高値水準に上昇したことが背景にある。

テクニカル

「7連騰後に調整あるも再び上昇」

日足は、7連騰後に反落も7月4日-6日の下降ラインを上抜く。7月5日-6日の上昇ラインがサポート。7月4日-7日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く。
週足は、5月15日週-22日週の下降ラインを上抜く。3月13日週-3月20日週の下降ラインも上抜く。6月5日週-6月12日週の上昇ラインがサポート。週のボリバン上限に近い。
月足は、2017年3月-4月、2月-3月の下降ラインを上抜く。4月-5月の上昇ラインがサポート。2015年12月-2017年2月の下降ラインが上値抵抗だったが上抜く。
年足は、2009年-2012年の上昇ラインを下抜いている。2009年-2016年、2008年-2009年の上昇ラインがサポート。2014年-2015年の下降ラインが上値抵抗。2016年は陰線だが下ヒゲが大きく伸びた。今年は陽転。

今週の「注目通貨ペア!」

今週の「注目通貨ペア!」

ドル円 南アランド円

【ドル円】 予想レンジ:110-115、日本の貿易黒字に相応しい今年のドル円の円高。今週は日銀金融政策決定会合

ドル円は年初117円台で始まり、108円台まで下落。現在は112円台で、年初来ではやや円高。今週は日本の6月貿易統計の発表があるが、6月中旬までは年初来で7,550億円の黒字で、前年同期間の1兆3,920億円の黒字からは6,370億円減少。昨年より緩やかな円高となっているのは、この貿易黒字の減少であり、ドル円の相場推移としては違和感のない動きだ。米国が貿易赤字、日本が貿易黒字では、ドル円の上昇を望むのはかなり無理がある。米金利の上昇でドルが上がっても、一時的なもの、デイトレード的なものに終わる。
投資信託の残高が6月末時点で101兆円余りとなり、日本やアメリカで株価が上昇したことなどを受けて、およそ2年ぶりに100兆円台を回復した。ただそのうち外貨投信残高は20兆円後半で推移しており、日本のマネーが特に外貨投資に向かっているわけでもない。
日銀は今週の金融政策決定会合で、2017年度と18年度の物価見通しと実質成長見通しを修正する。物価は17年度を従来の1.4%から1%前後まで引き下げ、18年度も引き下げる方向で検討を進めている。18年度頃としている2%の達成時期についても、先送りするかどうかを議論する。
成長率は17年度を小幅上方修正する方向に傾いている。このため、需給ギャップの改善基調が続き、物価2%目標に向けた勢いは維持されているとの見方が大勢で、現行の金融緩和策を維持して、景気を支えていく姿勢を鮮明にする。
ただ、景気回復の実感はない。5月家計調査によると、2人以上の世帯が使ったお金は28万3,056円だった。物価変動の影響を除いた実質で、前年同月より0.1%減少。15カ月連続の減少となっている。社会負担が増え、お酒の安売り禁止があり、マイナス金利で可処分所得が減れば当然の結果であろう。消費増税などあれば、さらに消費は減退しよう。

テクニカル

「ボリバン上限で2本の長い上ヒゲを出し、ボリバン中位まで下落」 

日足は、7月10日-11日に長い上ヒゲを残し、7月3日-7日の上昇ラインを下抜き下落。7月11日にはボリバン上限に達していた。7月11日-14日の下降ラインが上値抵抗。6月14日-7月17日の上昇ラインがサポート。5日線下向き。
週足は、4週連続陽線でボリバン上限近くへ上昇も先週は反落。2017年6月12日週-26日週を下抜く。2016年11月7日週-2017年6月12日週の上昇ラインがサポート。
月足は、2017年1月-5月の下降ラインを上抜き、雲の上へ一旦出るも、再び今月は上ヒゲを出し下落している。2012年10月-2014年8月のアベノミクス上昇ラインを下抜けている。2015年12月-17年1月の下降ラインが上値抵抗。
年足は、2012年-2013年の上昇ラインを下抜く。ただ2016年は終盤にきて下ヒゲが大きく伸びた。2017年は陰線スタート。2015年-2016年の下降ラインに沿う。2013年-2016年の上昇ラインがサポート。

【南アランド円】 予想レンジ:8.20-9.20、難問山積みも底堅い。今週はCPI、小売売上の後に政策金利決定

ポイント

今週はCPI、小売売上の後に政策金利決定がある
財務相は国有企業の民営化を打ち出した
財務相は6%成長を目指すとした
IMFの成長見通しは1%
中銀総裁は物価安定を目指すと発言
ズマ大統領不信任案採決は8月8日
問題山積。中銀国有化、土地改革加速、中銀の使命変更提案、黒人の最低資本参加率を上げる、リセッション、格下げ、大統領不信任案
ギガバ財務相は景気回復のため海外からの支援を受け入れることを示唆
5月貿易収支は黒字、年初来累計も黒字で南アランドを支えている
南アの成長率はアフリカ全体より低い
ムーディーズは南アの格付を「Baa3」に引き下げた。見通しは「ネガティブ」
中銀は再びインフレが上昇することを懸念
通貨安でもインフレが上昇することを懸念
2016年は南アへの投資は流入超で南アランドを支えている
S&Pとフィッチが南アの格付を投機的水準に引き下げ
COSATUがズマ大統領へ辞任要求
次期大統領候補の一人はズマ大統領の元妻。対抗はラマポーサ副大統領
今年は12月に与党ANCの党首選がある

トピックス

問題山積でも底堅い南アランド

問題山積の要因は何だろう?やはり景気後退である。その責任を誰にとらせるかで、大統領不信任案となり、中銀の業務制限提案などが出てきている。中銀がインフレを抑制するために政策金利を引き下げないことや通貨を上昇させていることまで批判されている。その他中銀国有化、土地改革加速、黒人の最低資本参加率引き上げ、格下げなどの問題がある。政府不信が暴動などに繋がっていないことが救いだ。
ただ南アランドは底堅い。通貨番付は8位で円よりも強い。株価も年初来3%高とマイナス圏となっていないのは、輸出増によるものであろう。貿易は昨年に続き、今年も黒字を維持している。

政策金利は

今週の南ア中銀の政策決定会合では政策金利は7.0%に据え置かれる見込みである。インフレはターゲットの3-6%に戻ったとはいえ、インフレの上昇は世界的に緩やかであり、タカ派の中銀総裁も慎重なかじ取りを行うであろう。

クガニャゴ中銀総裁

クガニャゴ中銀総裁は、物価安定と通貨価値防衛という使命を放棄すれば、南アは長く苦しい景気後退に陥るリスクがあると主張し、護民官による中銀の使命変更提言に改めて反論した。
同総裁は、経済成長重視に軸足を移せという護民官の提言は、物価高騰の持続がもたらす危険性を正しく理解していないと指摘。「過去半世紀にわたり、当局が紙幣増刷で成長をもたらそうとした結果、歯止めが効かなくなったインフレを下げるために必要となった措置により、痛みの伴う景気後退を招いた例は、枚挙にいとまがない」と述べた。
護民官が突然、中銀の使命変更を求めたことで投資家に混乱が広がり、通貨ランドが急落する事態になった。その後中銀は護民官の提言が法的に無効だとの確認を裁判所に請求。議会や与党・アフリカ民族会議、ギガバ財務相は相次いで提言は政府の不正を監視するという護民官の職務を逸脱していると批判した。
物価上昇率は現在5.4%。中銀は6%未満に抑えることを目標としている。クガニャゴ氏は「金融政策は常に持続的な経済成長を後押ししている。過去の経験からは、物価上昇率が低い方が、成長率はより力強く、より着実になることが分かっている」と強調した。

国有企業の民営化

ギガバ財務相は、景気後退からの回復を目指し、国有企業の一部民営化や国有の非中核資産の売却を含めた14項目の景気刺激策を発表した。
労働組合と連携する与党アフリカ民族会議(ANC)にとって、民営化はこれまで忌避すべき言葉に近く、今回の計画は方針の大転換となる。計画は反対に直面しそうだが、南ア経済が1Qに2009年以来、初めて景気後退に陥り、失業率の上昇や格付引き下げに直面している今、ズマ政権は何らかの行動を起こさざるを得ない。
財務相は「発表した項目はすべて、信頼を回復し行動を示すための重要な介入だ」と述べた。ANCと連携する南アフリカ労働組合会議(COSATU)は計画について、「原則の放棄だ。財務相は民営化の道を行こうとしているが、これはわれわれが数十年かけて反対してきたことだ」と反発した。
南アには300以上の国有企業があるが、国庫の負担になっており、格付会社は格付を脅かす要因だと指摘している。この中には南アフリカ航空、電力会社エスコム、物流グループのトランスネットなどが含まれる。どこから手を付けるかについては、財務相は明らかにしなかった。

2Q-BER消費者信頼感指数

前回▲10のところ結果▲9となった。

今年の南ア関連資源価格

ズマ大統領の不信任投票は8月8日。記名か無記名か

ズマ大統領の不信任投票が、8月8日に実施される。国民議会議長はまだ、不信任投票を無記名投票とするかどうか、決定していない。

テクニカル

「難問山積も底堅くボリバン上限へ」

日足は、7月10日-11日の下降ラインを上抜く。7月12日-14日の上昇ラインがサポート。6月27日-29日の下降ラインも上抜く。5日線上向き。ボリバン下限の下抜きから上限へ。
週足は、難題山積も横ばい続く。6月26日週-7月3日週の下降ラインを上抜く。3月20日週-27日週の下降ラインが上値抵抗。5月15日週-7月10日週の上昇ラインがサポート。
月足は、3月-4月の下降ラインを上抜くも、4月-5月の上昇ラインを一旦下抜く。しかし再び上抜き返す。2017年4月から3カ月連続陽線。今月もここまで陽線。2016年11月-2017年4月の上昇ラインがサポート。
年足は、2008年-2011年の下降ラインを上抜いた。16年は最強通貨で陽線。2006年-2015年の下降ラインが上値抵抗だが近い。