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マーケットビュー

金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

全会一致とならなかったECB理事会での決定

更新日:2016年12月9日

来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)に先駆け、12月8日に開催された欧州中銀(ECB)金融政策会合。FOMCでは今年初の利上げが確実視されているだけに、これといった強いコンセンサスがなかったECBからの発表内容について、マーケットでは数々の憶測が流れていました。

今週は、このECB理事会とドラギ総裁の記者会見内容をご紹介しながら、ここからのユーロについて考えてみたいと思います。

ECB理事会事前予想

ECB理事会に先駆けて、米WSJ紙が挙げた5つの注意点をご紹介します。

1) QE(量的緩和)策の延長と内容変更

事前のコンセンサスとしては、QE策は2017年3月末に期限が切れますが、それを3〜6ヶ月延長するという内容となっていました。

QE策の内容変更については、以下の通りとなっています。

キャピタル・キーなどの詳細については、過去に説明していますので、以下のコラム中段の「国債購入の品切れについて」の部分をご覧になってください。

2) スタッフ予想(3ヶ月に一度発表されるマクロ経済予測)内容の変化

最近ユーロ加盟国の経済指標は改善傾向が見られるため、GDPは改善される可能性がありますが、インフレ見通しは下方修正されてしまうのか?そこが、私は気になっていました。

3) 景気回復/インフレ率上昇に向け、ECBは何ができるのか?

これが一番難しい問題です。景気回復を確固たるものにするためには、追加緩和の実施が考えられますが、ここにきてこれ以上の緩和手段がどんどん狭まってきています。やはり頼みの綱は、加盟各国政府による「景気刺激策」に期待するしかないのでしょうか?

4) テーパリングについて、なにか話すのか?

マーケットの最大の関心事は、1)で挙げた「期間の延長幅」、そしてテーパリングの開始時期でした。

5) イタリアについて

週末の国民投票でNOとなったことを受け、レンツィ首相は辞表を提出しています。その後、世界最古のモンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナ銀行(以下、モンテ・パスキ銀行)の資本増強の目処が立たず、再建への不透明感が懸念されています。果たして、本日のECB理事会で、何らかの話し合いがもたれたのか?気になるところです。

ECBからの発表

12月8日(木)日本時間21時45分、ECBが金融政策内容について発表しました。

---政策金利---
・デポジット金利  −0.4%
・レフィ金利  0%
・貸出金利  +0.25%
⇒全て据え置き

---QE策の期間---
2017年3月から、2017年12月まで9ヶ月延長。ただし、状況により更なる延長もあり得る。
→→→ マーケットのコンセンサスは「6ヶ月延長」でしたので、「9ヶ月」は予想外。これを受け、一度吹き上げたユーロが売られることに…。

---QE額の変更---
月額:800億ユーロを、2017年4月より600億ユーロへ減額。
→→→ QE額の「減額」ということでマーケットは驚き、「テーパリング」と解釈。この発表と同時に、ユーロ/ドルは1.0870台まで急騰。

※クリックで拡大できます

ドラギ総裁記者会見

最初に、ドラギ総裁の主な発言内容をまとめてみました。

  •  本日の決定内容については、全会一致ではなく、広義にわたるコンセンサスをまとめたものとなっている。
  •  デポジット金利(−0.4%)よりも低い利回りの国債を購入対象に加えたことは、あくまでもオプションのひとつであるという見方をしている。
  •  QE月額:800億ユーロを600億ユーロに減額したが、これは「テーパリング」とは違う。
  •  テーパリングの定義は「毎月の購入額を最終的にゼロにする」ことであり、ECBの決定とは根本的に違う。
  •  テーパリングについては、ECB理事会で協議されていない。
  •  デポジット金利よりも利回りの低い国債を購入する場合、ECBは国債購入から利益を得ることが目的でなく、マーケットの安定を最優先している。
  •  QE期間の延長は、南欧州(イタリアやスペインなど)を念頭に置き決定された訳ではない。
  •  イタリアの銀行問題は以前からマーケットでは知られていた。これは、イタリア政府が取り仕切る問題であるという認識だ。
  •  来年、新たなユーロ危機が始まるとは考えていない。加盟各国がそれぞれ問題を抱えているが、落ち着いた状態であることに変わりない。
  •  英国のEU離脱(Brexit)やアメリカのトランプ候補の当選によるマーケット・リスクが心配されていたが、今のところインパクトはない。これらは中長期の問題であるため、今後も注意が必要である。
  •  最近の原油価格の上昇は、インフレ見通しを考える上で重要だ。しかし、今のところは「一度限り」の動きであるという認識だ。

スタッフ予想

3ヶ月に一度発表されるマクロ経済予測である「スタッフ予想」。今回はGDPは上方へ、インフレ見通しは下方へそれぞれ修正されるという事前予想がありました。しかし、いざ蓋を開けてみると、前回9月予想とあまり変化ありません。

この予想の中で一番「痛いなぁ…」と思ったのは、2年後のインフレ率が未だに2%以下(表の丸の部分)であることでしょう。この数字が少なくとも1.9%かそれ以上にならない限り、ECBによる追加緩和観測は消えません。

ドラギ総裁発言、2つの驚き

今回の記者会見を聞いていて、驚いたことが2つありました。ひとつは、QE策の月額を減らしたことは、「テーパリングではない」という解釈。そして、もうひとつは、国債購入条件のひとつであった「利回り下限の撤廃と購入対象の拡大」が発表されたことです。

 テーパリングではない!と力説したドラギ総裁

記者会見の席で、参加した記者から何度も出た質問、それは「今回の決定は本当にテーパリングではないのか?」というものでした。それについて、総裁は、「テーパリングの定義は『毎月の購入額を最終的にゼロにする』ことであり、ECBの決定とは根本的に違う。」と繰り返しています。

しかし、マーケット関係者の間では、「最終的にゼロになる部分」ではなく、「月額を減らした事実」を重視し、実質的なテーパリングの始まりという捉え方をしている人が多いようです

英FT紙は、今月の会合では、「ECBのQE策を来年末まで延長する必要はない」と考えるタカ派理事達と、「800億ユーロを一気に600億ユーロに減額する必要性について疑問を感じている」ハト派理事たちの間に挟まれたドラギ総裁は、「テーパリング」という言葉を使うことに非常に神経質になっていたようだ…、という感想を載せていました。

 利回り下限撤廃と購入対象の拡大について

過去のコラムでも書きましたが、ECBは今までずっと「月額800億ユーロ規模のQE策(国債・社債などの購入)」を実施していますが、現在のペースで購入を進めれば、早ければ年末から来年第1四半期にも、ドイツ・フィンランド・オランダなどの国債が品切れになるだろうという観測が出ていました。そして前回10月の理事会後の記者会見でも、記者がこの問題について質問しました。しかし、その時ドラギ総裁は、「購入対象の国債が品薄になっていることについて、本日の理事会で話し合った。しかし、特に大問題になったわけではない。」と答えるに終わっています。しかしこの答えは、①大問題ではないが、問題なのか? ②本当に全く問題ではないのか?その辺りが曖昧でした。

これについて、今月の理事会で答えが出ました。それは、「購入対象国債に対し、今まではデポジット金利(−0.4%)を下限としていたが、それを撤廃する。そして、購入対象の国債について、今までは残存期間:2年物〜30年物となっていたが、2017年1月からは、残存期間:1年物〜30年物に拡大する」という内容。これを受け、国債利回りのマイナス度合いが一番高いドイツ国債に大きく買いが入りました。

このニュースを文字通りに受け取れば、今後は1年物も含め、制限なしにECBは加盟国の国債を購入できます。しかし、このプログラムで損失が発生した場合は、ECBへの拠出金の規模に応じて各国中銀で損失を分担するはずですので、特にドイツなどから不満が出てくるかもしれません。

ちなみに、この措置のおかげで、ドイツ国債の枯渇懸念が払拭され、2018年6月くらいまでは購入対象国債が残っている計算となったようです。

ここからのユーロを取り巻く環境

いくつかの懸念材料が考えられます。

 「2017年 欧州選挙年」

週末のイタリア国民投票の結果を受け、レンツィ首相が辞任するため、早ければ来年2月にも解散・総選挙の実施になるのでは、と危ぶまれています。

もしイタリアが来年総選挙に動いた場合、ユーロ加盟国の経済規模:上位5番目までのうち、4ヶ国が選挙となる公算が高まります。この4ヶ国でユーロ圏全体の82%の経済規模ですので、「2017 欧州選挙年」を無視する訳には行かないでしょう。

 ドイツの反対は、バランス・シート拡大なのか?

2014年11月に開催されたECB理事会後の記者会見で、「ECBのバランス・シート残高は、2012年頃の規模(3兆ユーロくらい)まで拡大する必要がある。これは理事会で全会一致の見解だ。」とドラギ総裁が話されました。

その後、2015年1月に国債購入(PSPP)を含むQE策が開始され、ECBのバランス・シート残高は着々と増加し続けました。そして、今月の理事会直前のデータを調べると、残高は3兆ユーロを優に超えて3兆5,873億8,000万ユーロと、とても大きな額になっていたのです。

バランス・シートの無防備な拡大は、資産バブルを引き起こすという点からも、ドイツは特に「これ以上の量的拡大によるバランス・シート拡大」には否定的であり、今月の会合でもQEの延長に反対したと言われています。

次に、バランス・シート規模を他の主要国中銀と比較してみることにしました。セントルイス連銀のホームページやそれ以外の報道を読み比べて大まかな数字を出してみると、このような感じになりました。

出典: 数々の報道

スイスと日本は除き、米欧英の3ヶ国に絞って比較した場合、ECBの規模が大きいことがわかります。たぶん、ドイツ連銀としては、これ以上拡大しても、インフレ率の上昇には繋がらず、資産バブル懸念という「負の効果」のほうが深刻になると考えたのかもしれません。

 テーパリングの時期を探る

頑なに「テーパリングとは違う」と否定発言を続けていたドラギ総裁。最初は単なる頑固オヤジにしか見えませんでしたが、何か理由があるに違いないと考え直しました。

そして発見したのは、あっさりとテーパリングを認めてしまうと、ユーロ加盟国の国債利回りが上昇してしまい、来年の選挙に響いてしまうかもしれないことです。

現在のユーロ加盟国、特に南欧州各国の国債利回りが驚くほど低いのは、ECBが買ってくれているからです。その購入額が今後、毎月減少するとわかれば、マーケットで物色が始まるでしょう。つまり、危ない国の国債はこれ以上買わないという選択です。

そうなると、もしかしたら来年早々、解散総選挙があるかもしれないイタリアなどの国債が売られることにもなりかねず、銀行問題と絡み、選挙ではポピュリズム/反体制派が勝つこともあり得ます。そう考えると、少なくとも来年秋のドイツ国政選挙が終了するまでは、ECBは何があってもテーパリングを認めないのかもしれません。

 銀行収益は大打撃?

テーパリングを認めないことで、加盟国の国債利回りは安定し、各国の財政運営もやりやすく、選挙での大きな番狂わせがないかもしれません。

しかし、これを銀行側から眺めてみると、全く違った景色が見えます。それは、国債利回りの低下が長引くことによる収益の逼迫です。

あまりにその状況が長引いてしまうと、モンテ・パスキ銀行だけでなく、銀行セクター全体の株価が下落しないとも限りません。12月8日のドイツ銀行株価は、久しぶりに20ユーロ目前まで上昇しました。しかし、このトレンドが長期的なものとなるのかは、正直あまり自信がありません。さしあたり、アメリカの株価指数が強いうちは、安心かもしれませんが、欧州個別の弱気材料が出てきた場合には要注意と言ったところでしょうか?

ここからのユーロ

それでは最後に、ここからのユーロの動きについて考えてみたいと思います。

12月8日のユーロ/ドルのチャートを見ると、ユーロ安/ドル高となっています。

※クリックで拡大できます

しかし、驚くことにユーロの実力を示す実効レートは、今週に入ってから上昇しており、8日の終値は、95.0814、ちょうど過去の上昇チャネルの下限(黄緑色のサポート線)で、ピタッと止められました。

チャート:ECBホームページ

※クリックで拡大できます

冷静になるために長期のチャートをチェックしようと思い、1999年のユーロ誕生時以降の実効レートのチャートを開いてみました。それを見ると、2010年以降続いていた下降チャネル(ピンク点線)の中で現在も推移していますが、もしかしたら90台あたりでダブル・ボトム(黄緑の丸い点線箇所)となっている可能性もあります。そして、2015年からは、紺色の点線で引いた上昇チャネル内での動きとなっているのが判ります。

もしこのまま上昇チャネルの流れに沿って動き、高値(114.4577)/安値(81.3158)の半値戻しである97.8867レベル(赤丸の点線箇所)を上に抜け、同時にピンクの下降チャネルも上に突き抜けると、一気に上昇に弾みが付きそうです。

チャート:ECBホームページ

※クリックで拡大できます

しかし、私の頭の中では、来年はユーロが下落する確率が高いというシナリオが渦巻いています。その根拠としては、

① 米欧金利差 → 12月のECB理事会での決定を言葉通りに受け取るのなら、ECBは来年12月末まで国債購入を継続するのに対し、アメリカは来週にも利上げが実施されるでしょう。一部の銀行は、アメリカの利上げ幅を0.50%としており、もしこれが実現すると、主要政策金利であるFFレートは、現在の「0.25〜0.50%」から「0.75〜1.0%」となり、一挙に1%台となる。

② 「2017年 欧州選挙年」 → これが一番の心配の種です。特にイタリアが本当に2月にも解散総選挙となると、政局不安が高まることにもなるでしょう。ただ、アメリカでもトランプ新大統領が正式に就任されますので、軌道に乗るまではどんなニュースが出るか、わかりませんね。

② イタリア銀行問題 → 果たして、このままモンテ・パスキ銀行の資本増強がスムーズに行くのか?何らかの問題が生じると、欧州系銀行全体が重い雰囲気に包まれるかもしれません。

総合しますと、今年は常識が通用しない相場展開が続きましたが、アメリカの利上げとECBの長引く低金利政策に変更がない限り、ジリジリとユーロは下落トレンドになるという考えは変わっていません。

チャート:ECBホームページ

※クリックで拡大できます

 

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