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金曜 松崎美子の英国発!すこしFX☆なが〜くFX ロンドン在住の女性トレーダーによる為替&経済コラム

さようなら、EU

更新日:2017年1月20日

1月17日、メイ首相は【Brexitに向けたスピーチ】を行いました。年初からメイ首相を取り巻く環境は決して優しいものではなく、やらずに済むのであればやりたくなかったスピーチだと私は思っています。

今週のコラムでは、英国に住む私ならではの【メイ首相スピーチ】を聞いて感じたことなどを、ご紹介したいと思います。より詳しくは、2月8日のセントラル短資FXさんのウェブセミナーでご説明したいと思います。楽しみにしてくださいね!

駐EU・イギリス大使、突然の辞意

新年が明けたばかりの1月3日、英国では衝撃のニュースが一面を飾りました。それはアイバン・ロジャーズ駐EU大使の突然の辞任報道でした。

キャメロン前政権で、2013年11月に4年間の任務で駐EU大使に任命されたロジャーズ氏。任期満了まで残すところ、あと10ヶ月の時点で、自主的に辞任を決断しました。英国は3月末までにEU離脱に向け動き始めるため、交渉中に任期が切れる不都合を避けるためにも、前もって辞任するのは理解できますが、同氏が漏らした本音が報道されてからは、メイ首相を取り巻く環境が一変しました。

それは、「メイ政権はBrexitに対して、何も案を持っていない。それに、メイ首相とは一緒に仕事が出来ない。」という内容でした。つまり、英国政府のBrexitシナリオが全く形を成していないため、駐EU大使として非常に動きづらかったこと。メイ首相とあまり意見が合わなかったこと。メイ首相は「いかなる意見でも柔軟に対応する準備があるので、どんどん意見を言って欲しい」と言いながら、いざ自分の考えと違う意見を持つ人間が出てくると、その人を無視すること。EUとの交渉に必要な人材が絶望的に不足していること。Brexit担当省の事務次官と対立関係になってしまったこと。そして昨年12月のEUサミットの時に、「英国のEU離脱がまとまるまでに、10年くらいかかるかもしれない」と語り、メイ政権の面目が丸つぶれとなってしまったことなどが、暴露されたのです。

ランカスターハウスでのスピーチ

年明け早々から言いがかりをつけられ、面目丸つぶれのメイ政権。そこで間髪を入れず、Brexitの詳細説明の場を設けると政府は発表しました。それが、1月17日のスピーチでした。

場所は、外務省管轄のランカスターハウスという建物。ここは、1825年にヨーク公爵の命で建設された新古典主義の大邸宅ですが、わざわざこの場所を選んだのには理由がありました。

それは、1988年4月にサッチャー元首相が、EU単一市場(シングル・マーケット)加盟に向けたキャンペーン・スピーチを行ったのが、この建物だったからです。サッチャー氏は欧州の連邦主義には反対でしたが、経済については根っからの自由主義者でしたので、モノやカネが自由に行き来できる競争力の高いシングル・マーケットという構想には大賛成でした。そこで同氏は英国の企業に対し、是非シングル・マーケットに参加するよう、ランカスターハウスから呼びかけたのです。そして、このキャンペーンから5年後に、当時12ヶ国で構成されていたEU各国は、シングル・マーケットの導入に至りました。

皮肉なことに、それから29年後の今年1月17日、全く同じランカスターハウスで、英国はシングル・マーケットから離脱するという発表をしたのです。

メイ首相スピーチの内容

スピーチは、12の優先項目を読み上げる形で進んでいきました。

これら12項目のうち、最もコアな6点として、

  • ①シングル・マーケット(EU単一市場)から離脱する
  • ②2年間の交渉が終わりEUからの離脱がはっきりした時点で、上下両院での採決を取る
  • ③EU法の適用は終わり、英国法のみを使用
  • ④移民のコントロールは英国政府の手に戻る
  • ⑤離脱交渉がまとまれば、「移行期間を設ける」ことをEUと話し合う 
  • ⑥関税協定の見直しを協議する。必要であれば、EU予算に多少の費用を支払う準備はある

これらを総括すると、「シングル・マーケットと関税協定などEUのメンバーに与えられている全ての特権を放棄し、部分的メンバーというような中途半端なことは目指さない。その結果、移民問題などの国境を巡る管理は英国政府主導で行われ、ルクセンブルグにある欧州最高裁判所の判決よりも、英国法が優先されることとなる。ただし、今後の関税協定や貿易協定、安全保障の役割分担や移行期間など、英国とEU双方に必要な条項に関しては、交渉期間中に解決されることと期待する。2年の交渉が終了した時点で、その内容について英国の上下両院で採決を取る。」ということになります。

8年ぶりの上昇を見せたポンド

1月15日の英タイムズ紙日曜版の一面では、「The prime minister’s staff admitted her words were likely to cause a ‘market correction’ that could lead to a fresh fall in the pound. 首相関係者は、メイ首相が スピーチで話す内容は、 ポンドが新たな下落を引き起こすきっかけになりそうであることを 認めた。」と大々的に報道され、スピーチ前日(1月16日月曜日)のアジア時間に、ポンドは大きな窓開けでのスタートとなりました。日本とは違い、通貨の価値について政治家や政府関係者が言及することは、ほぼあり得ないイギリスで、こういう記事が載ったことに、私は大変な衝撃を受けました。しかし、17日のスピーチ当日になると、典型的な「Sell the rumour, Buy the fact」相場となり、2008年12月以来の上げを見せたのです。

この驚くポンド急騰の背景には、

  • 英国の上下両院でBrexit条件に対する最終採決実施が確定
  • 税協定からは一旦出るが、今後はEU側との交渉次第では、今までと同じように関税がかからない貿易が可能となる
  • かなり高い可能性で、「移行期間」の設定ができそうだ
  • メイ首相のスピーチ前にインフレ率が発表され、予想を大きく超える+1.6%となった
  • トランプ大統領のアドバイザーであるスカイブリッジキャピタルのアンソニー・スカラムッチ氏がダボス会議で、「ドル高に注意が必要」と発言した

などが挙げられています。

メイ首相スピーチ後の反応

英国が「シングル・マーケットから離脱する=ハードBrexit」を選択したことを受け、英国のGDP12%を弾き出すロンドン金融街シティの銀行が営業できなくなり、各加盟国との貿易交渉が合意するまで、輸出入製品に関税がかかることになります。

ここで、金融機関の営業について簡単に説明しますと、欧州圏内の金融機関(銀行、投資運用会社、保険業など)は【パスポート制度】を利用して、域内で営業をしています。この制度は、欧州経済領域(EEA)で形成/適用されており、この域内のどこかの国で免許を取得すれば、他の国でも営業が出来ます。そして、EEA加盟国では、EU単一市場(シングル・マーケット)内での「カネ・モノ・人・サービス」の4つの自由が保証されています。

Brexit後の英国は、シングル・マーケットから完全に抜けることが決定しましたので、金融業の【パスポート制度】が適用されません。そうなると、英国に拠点を置く金融機関が欧州で営業するためには、EEA域内に拠点を移し、免許を取得する義務が生じます。

これに加え、ロンドンのシティでは、ユーロ建て取引の決済業務が行われていますが、この権利も失うことになるかもしれません。今までは、非ユーロ圏であるイギリスでユーロの決済を認めていたEUですが、Brexit後はユーロ加盟国のどこかに移すことを主張しているからです。

【パスポート制度】から抜けたロンドン・シティで今まで通りの営業が続けられない大手金融機関は、スピーチ翌日から今後の方針を発表し始めました。ここでは、現時点で分かっている米英欧系大手銀行からの発表をご紹介します。

・英HSBC銀行
ロンドンのトレーディング収益の約20%をフランスのパリに移動させる予定。それに伴う人員の移動は、1,000人規模となる模様。ただし、移動は英国とEUとの交渉が終わる2年後辺りを予想している。

・英ロイズ銀行
ドイツのフランクフルトに子会社を設置し、事態に対応する予定。

・米JPモルガン銀行
英国には16,000人の職員がいて、そのうち、4,000人の移動があり得る。具体的な都市名は挙げていないが、業務のシフト先としてニューヨークに注目が集まるという見解を発表。

・米 ゴールドマン・サックス
英国には6,000人を超える職員がいるが、そのうち約半分の3,000人がニューヨークとフランクフルトをはじめとする欧州拠点へ移動する計画がある。特にフランクフルトへは、最高で1,000人がシフトすることが予想される。ただし、今年や来年すぐに移動するわけではない。さしあたり今後の予定や方針については、1月19日(木)にダボス経済シンポジウムに出席するメイ首相と現地で話し合う予定となっている。

・スイス UBS銀行
英国には5,000人の従業員がいるが、1,000人程度がロンドンから出る。現在、ドイツとスペインにオペレーション・センターがあり、スペインへは300人くらいの移動がありそうだ。

コンサルタント会社のオリバーワイマン社の調べによると、英国の金融業界で働く人たちの数は、110万人だそうです。そして、この業界全体の年間収益額は、最大で2,050億ポンド規模、彼らが支払う税金は、年間約600〜670億ポンドとなっているようです。今後の交渉で、【パスポート制度】について何らかの譲歩が得られない限り、優れた人材の流出だけでなく、政府の税収も大きく目減りすることとなり、財政均衡達成への道のりが、ますます険しくなることを意味します。当然ですが、赤字垂れ流しとなれば、格付が下がるリスクもありますので、要注意ですね。

最高裁からの判決

読者の皆さんのご記憶にも新しいと思いますが、昨年11月、英国の高等法院では、「EU離脱の正式な手続きを始めるにあたり、 EU 基本条約 50 条の行使には、議会の承認が必要」という判決を下しました。この判決に不満を持ったメイ政権は、最高裁判所に上訴し、その判決が1月24日ロンドン時間午前9時30分(日本時間18時30分)に発表されます。最高裁のホームページ上には、午前9時35分までに掲載されるそうですが、各政党に所属する弁護士たちは、9時30分よりもやや早い時間(正確にはわかりません)に判決内容を手渡されるそうなので、リークしないとも限りません。

もし、最高裁が高等法院の判決を覆せば、メイ政権にとっては朗報ですが、英国でのコンセンサスとしては、ここでも政府は敗訴するという予想です。高等法院に続き、最高裁でも敗訴することは非常に嘆かわしいことですが、最近では負けることより、もっと「大変なこと」に話題が集中しています。

それは、最高裁の判決文に、「英国議会はスコットランド議会と北アイルランド議会の合意なくして、EU基本条約50条の行使に動けない」という文言が入る可能性を指摘する法律関係者が出てきたからです。

かなり小難しい話しになりますし、法律に関することですので、私も100%きちんと理解しているか正直自信ありませんが、知っている限りのことを書いてみます。

1997年の総選挙で労働党のブレアー氏が首相に就任しました。この政権は、それまでの保守党政権が頑なに拒んできた地方分権を重要政策の1つとし、スコットランド・北アイルランド・ウェールズに地域議会の設立を認めました。その際、法的な地域(法域)として、①イングランド及びウェールズ、②スコットランド、③北アイルランドの3域に設定しています。

これらの地域議会設立を受け、数々の権限委譲が行われました。そして地方議会の名称も、ウェールズと北アイルランドは「National Assembly 」としましたが、スコットランドだけは英国議会と同じ「Parliament」という単語を使っており、スコットランドへの権限委譲は他の2ヶ国と比較しても大きくなっています。そうは言っても、英国は英国議会に全ての権限が集中する【中央集権システム】となっており、何があっても英国議会に決定権がありますが、スコットランド議会への委譲事項に関して立法的関与を行う際には、スコットランド議会の同意を得るための法的手続き「スウルの慣行/動議 Sewel Convention」を実施しなければなりません。

その中でも、1998年人権法、1998年スコットランド法および1972年欧州共同体法は、スコットランド法において特別の地位を有するだけに、Brexit問題もスコットランド議会の合意を必要とする最高裁からの判決が出るかもしれません。もしそうなった場合、スタージョン自治政府首相の今までの発言を聞く限り、シングル・マーケットから離脱するBrexit案に対し、スコットランド政府がYESを出すとは思えないため、最悪の場合は 3 月 末までに 50 条を行使するというタイムテーブルが大幅に遅れることは避けられなくなるでしょう。

ただし、メイ政権は敗訴することを既に想定し、その直後に議会に提示する法案作成に動いているとも伝えられています。

いずれにしても、1月24日にはポンドが大きく動くかもしれません。

まとめ

今回のスピーチにより明らかになったBrexitの内容ですが、まだまだ不透明なところがかなり残っています。その辺りについては、2月8日(水)にセントラル短資FXさんで行うウェブセミナーでお話しさせてください。

メイ首相のスピーチを受け、2008年12月以来最大の上昇率を遂げたポンドですが、実効レートをみると、たしかに上昇はしているものの、度肝を抜くような動きには見えません。昨年夏以降、逆三尊(逆ヘッドアンドショルダー)を形成していたようにも見えますが、右肩が若干下がりすぎたように感じています。

次は、ポンド/ドル週足に200週移動平均線を引いて、そこからの乖離を示してみました。

※クリックで拡大できます

チャート上に書き込みましたが、①のろうそく足で、ピンクのサポートを下に抜けてから、次のサポートをもう一度下に抜ける(②のろうそく足)までに、15週間かかっています。そして、今週は②のろうそく足からちょうど15週目に当たります。

前回が15週だったので、今回も同じとは限りませんが、乖離も少しだけ縮小に向かっています(水色の丸の部分)。今後、乖離が更に縮小し、水色の線で引いた乖離のレジスタンスを上に抜けていくようであれば、一旦ポンドの底固めの動きになるのかもしれません。

当然ですが、3月末までにEU基本条約50条が行使されるか否か、その後思ってもみないような悪い材料の噴出や、英国の景気後退が本格化する可能性などを考えると、まだまだポンドは安心して買う通貨ではありません。時期がくれば、本格的な下落相場が再開し、今までの安値を更新する局面も覚悟しなければいけません。しかし、「短期的には底固めをし、上値を試し、新たな下落に備える」、そんなステージに入ったような気がしてなりません。

短期的な底固めが本格化するのは、1.2800レベルが週足ベースで上に抜けるのを確認してからで良いでしょう。

 

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